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AMETHYST
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連れて行って
<p>少年期のクライヴ→ジル マヌエの丘へジルを連れて行く前。 ※ 連れて行って ロザリス城からはまだ屋敷の外へ出る許可は降りない身体が弱い弟が好きなように歩き回れる不死鳥の庭園と。それと民の暮らしが見守れる城下町が眺められる。 産まれてすぐに身体が弱いと父親と母親から教えられて。 そして周りの貴族達や侍女達の放つ雰囲気からもジョシュアは屋敷において自室にて本を読むようになり、理解力の早さからジョシュア様は才能があるとささやかれるようになった。齢4つになるとようやく庭園へと5つ年上の兄クライヴが手を引いて今日はここを見に行こうかと連れて行ってくれた。 砦に囲まれているこの建物の姿は厳かであり、伝統を奏でるものであり。 そしてそこからの眺めがナイトとしての歩みを始めたばかりで稽古の厳しさに始めたその日から嘆きそうになりながらもクライヴは好きだった。 ジョシュアもクライヴが自分の部屋のテラスから外を眺めて決意を強く固めているその様子に日ごとに豆が増えていくその手を取って。 ナイト—騎士としての道を歩み進み続けている兄へ公子として。 そしてひとりの男と
3 日前読了時間: 8分
抱擁
<p>ジョシュアとジルを大切に想っているクライヴ。 ※ エルウィン大公の統治下においては慈愛と伝統の国だと奏でられていたロザリア公国—直近まではザンブレク皇国領として神皇后であったアナベラによる圧政により民の生活も苦しくベアラーたちの命も投げ捨てられていた現実を5年前に目の辺りにしてきた第一王子クライヴ・ロズフィールドは青空が広がっていれば人3人にとって強い日差しを避けるのにちょうど良いであろう大岩の陰にて第二王子であり5つ下の彼の実弟であるジョシュア・ロズフィールドと、和平の証として彼が9つ彼女は6つの時に出会った幼馴染のジル・ワーリックをその両腕に力強く引き寄せ抱きしめている。 ウォールード王国領―前身であったヴェルダーマルク王国を墜とした後は王制であったこの国でたったひとりだった王がオーディンの力を“器”として彼に明け渡し終えると消滅し。彼の王城にそびえ立っていたマザークリスタルドレイクスパインの破壊に成功しそして遠い先には本当にあったのだろうかと人々の記憶から消え去るのであろう—アルケーの空とウォールード王国の民が呼称し青空が覆われ変わり
3 日前読了時間: 8分
ぽたぽた
<p>ジル→クライヴ ※ フェニックスゲートにてあなたは自分がイフリートのドミナントだった—それが現実であると。あなたが自ら真実を受け入れてから分かったことがある。あなたは私がそういう所は昔から変わっていないなと子どもの頃のような笑顔でそう語った。ああ。今の私に子どもの頃の私を見ているのだと。「いいえ…私は変わったわ」あなただって、ずっと。ベアラーとして望まないまま戦いに連れ出される日々だったはずだ。逆らえない現実。違うとすればあなたは…戻るのが怖かった、と。全く動けなかった私とは違う。力づくに連れ去られ。どこまで行くのか見当もつかない海の只中に狭い船内と連れて来られた薄暗い部屋にマーレイと共に押し込められて。あの男のおもちゃにされるのだと無理やりそこから連れ出されて。気が付いたら氷の飛礫があの屈強な男たちの肉体を裂いていた。見たことも考えたこともない冷たい檻の中へ閉じ込められた。目の前で手籠めにされた少女たち。それからの年月は…思い出したくもないのに忘れられない。私は—…獣であり、人形として。あの男の命令のままに多くの命を奪って。 そうして、生
3 日前読了時間: 6分
白い花
<p>メインはジル。 愛を注いでもらうことの大切さ。 ※ 白い花 首都ロザリスを南下していくとラザロ街と呼ばれる貴族たちが余暇を楽しみ為に王妃であるアナベラが手を入れた街が存在している。こうした時に身体が弱いのが良い口実になると思うのは母の取り巻き含め何やら同盟国でもあるザンブレク皇国の貴族が数人訪れるというその誘いを断れることだ。前にジルとトルガルと共に稽古を眺めてそのままロザリアに限らずこのヴァリスゼアではあちこちで見られる空の時代の遺跡を見に行っても良いし、海を眺めにも行ける。兄のそのことを話すと笑顔で快く応じてくれた。父上とマードック将軍にも話しておこうとふたりで許可を求めに王座の前に出る。ジョシュアは真っ直ぐに立ち、クライヴはひれ伏しながら。エルウィン大公はしっかりと民の様子も見ておくと良いと頷き、ナイトとしての務めを忘れずにとマードック将軍も白い歯を見せて笑顔で送り出してくれた。兄と弟、ふたりの王子が出て行ってからエルウィンはマードックに静かに耳打ちをした。近頃城内にて高価なものが運び出されていると使用人たちからの報告がある。マードッ
3 日前読了時間: 9分
覚えている
<p>クライヴとジル。 シドとの誓いと目の前のことに真剣そのものであった時。 ※ ※ 覚えている(クライヴとジル) ふたりでロザリアへ一旦戻ろうと皇国領と化してから13年振りの帰郷となる…懐かしいと感じることが出来るのだろうか。あそこでこうしたね楽しかったねとそうした会話が弾む思い出の場所やエルウィン様が伝えようとしてくれていた温かさからどれほどかけ離れた地へとなってしまったのだろう。それらも受け止めようと足を進めている道中、ジルは優しくトルガルの背中を撫でていた。“トルガルが覚えていてくれて。そうして俺を見つけてくれた。シドの助けがあって抜け出して君を連れ出せたんだ”トルガル。あなたはすぐにクライヴだと分かったのね。撫でながらジルはそう心の中でトルガルに語りかける。尻尾を高くそして元気に振ってトルガルが応えてくれた。“あんたのせいであの子たちが―…”痛めつけられていたのもこの目にしてきた。状況は何も変わらない…いいや悪化するばかりだ。結局あの戦いでも死ねなかった、また繰り返しだ。心を凍らせてこの身を獣のように振る舞い相手を震わせ凍り付かせてから
3 日前読了時間: 9分
空(から)の
<p>クライヴの癖が気になっているジルその2。 ※ バイロン・ロズフィールドの屋敷にて3国同盟を再びと客室へ集った彼ら3人の目の前にはその内のひとりカンタンが運んできた銘柄のワイン—ゴールドンルージュが3本ことんと主張するように置かれていた。「飲まないのか」復讐を遂げ。そしてそれと引き換え多くのロストウィングの村人たち—同士だった彼らを失い—空虚となりかけながらも生き残った者たちと共にこれからを考えていた矢先だった。クライヴに纏め役として力を貸して欲しいと今のロザリア、ダルメキアの代表の彼らにザンブレクからと顔を合わせたカンタンが腕を組みながらオイゲンに問う。「生憎、素性がまだはっきりとしていない男が目の前にいるのだ。ちょうどザンブレクについても尋ねたいと考えていた」かつては将軍であり、タイタンのドミナントとして権利と発言を利用していたフーゴ・クプカによりダルメキアの軍事から一歩退けられ評議会のひとりとしてフーゴ亡き後国を纏めようとしているオイゲン・ハヴェルは鋭く相手を捉えている。「なら、今のザンブレクの現状を話そう」こうした場合旧友であるバイロ
3 日前読了時間: 7分
奏でる
<p>ヴィヴィアン先生とオットー、詩人のルカ―ン。 ※ さて、次はどことどこが争うことになるのか。来たばかりの頃はそのことに考えを傾けていた。 世界情勢と軍事とは切っても切り離せない関係にある。それらを教鞭として振舞えれば場所はいとわなかった。とはいえ、ここ最近―厳密にはもっと前からなのだろうか。ここに来てからこの世界で日々連続起きている現実が心に重くのしかかっている。崩壊したクリスタル自治領。私―このヴィヴィアン・ナインゲールの故郷だ。そしてただひとりの王が治めていたウォールード王国。かつてはそこに軍事顧問の一員としていた。新たな王国は狂気に沈んだ王が討ち取られ。マザークリスタルドレイクスパインの破壊と共に終焉を迎えた。 感傷、とは違うと思う。私のいまこの胸にある感覚は。興味―それは好奇心とは違うものだと私は己を分析している。クリスタルに頼り縋りつき、その為に他者を踏みにじりそれが救いなのだと信じ切っている人々。既に魔法は使えない。世界は混沌としているとクライヴへ告げた。彼にそう告げた後。鉛のようにぼとりと心に下る不可解な感覚が襲ってきた。この
3 日前読了時間: 7分
トルバドゥール
<p>望郷組。各地にいる吟遊詩人もモチーフに。 ・トルバドゥール(望郷組) ノースリーチをザンブレク皇国において皇都であったオリフレムに代わり新たな中心街とすると首の賢人とその娘であるサビーナの衝突―イサベラ曰く親子喧嘩でしかない緊張はアカシア退治と彼女と街を守ると決めたひとりの男。そしてクライヴたちの助力、イサベラの助言によりようやく解けて街全体がひとつになることが出来た。彼女は語ってくれた。かつて愛した男がベアラーであり、彼と共に過ごした日々。そして夜のとばりでどれほど世話になっていたのかも。 ノースリーチはかつて要塞であった役割も残っており、街の外と街の中では商か生活かで大きく分かれる。何かと話好きな街人が宿の1階にてまた集い合い始めた。軽い食事を済ませた後少しだけ街の様子を目に焼き付けておこうと2階からクライヴとジルは眺めることにした。先の方へ向くと兵士たちの訓練所がある。そこで流れ者のマダムの目に適ったベアラーかと考えた彼らと剣を交えた。その強さに兵士たちの隊長もうかうかしていられないと実感しムーアへ出て行くまでさほど苦労はしなかった。
3 日前読了時間: 5分
どうか
<p>ヨーテとジル。 ※ はじまりは他でもないあなたなのだ。 黒の一帯を巡りこの大陸に起きている現実をふたりで目にしながらジョシュア様が語る。 僕らに何が出来る―? それは私に対しての言葉ではない。未だ傍に寄ることも叶わない―…あまりにも大切な人なのだと…血が繋がっている5つ年上の実の兄に対するものなのだ。その全てを私には計れない。理が姿を現し、一体何が起きているのかあの人には分からなかっただろうとそれは当然だとジョシュア様は語った。ミュトス、と。ジョシュア様が教えてくれたあの人の本名ではないものの呼称。それが狙いなのだとジョシュア様はモースの書物から知った。それが具体的にどういったものなのかはまだ不明瞭で。封じることぐらいしかこの身では出来ないと咳き込むあなたと共に混乱と混沌に陥ったザンブレク皇国領内を離れた。目の前に迫っているのは黒の一帯だけではない。ジョシュア様の石化だって同じこと…。教団の指揮を取るシリルに証拠を見せたところで今必要なのはそれを打破する力。フェニックスだけでは到底成し遂げられない。だが、すでに混沌へとこの大陸全体を陥れてい
3 日前読了時間: 8分
見守る
<p>・見守る (バイロン叔父さんメイン、カンベルトリオ)若者の麗しさとはその力強さ、若盛りだとバイロンは造船に取り組んでいるこのアイアンワークス内、特にミドとガブだ。このふたりの様子から大いに感じていた。 ミドが幾度もありがとうと口にするのはロザリア7大家族のひとつであり、大富豪でもあるバイロン・ロズフィールドの後ろ盾があってこそ商業都市であるカンベルに置いてこうして造船の完成に向けた計画を進めるだけでなく早めることが出来ているからだ。ヴァリスゼアでこうして大きな船を作り出すの、父さんの夢だったんだと近くの酒場で一緒に食事を取りながらそっと—エールを交わすのはちゃんと全部終わってインビンシブルに帰ってからにしましょうやとガブとの約束の日も楽しみだ—呟いてくれたことがある。彼女のその様子から兄が亡くなったと報告を受けたあの日を思い出した。愛おしい甥っ子たちが生きているかも確かめることも出来ず次は首都ロザリスの陥落が知らされ皇国領に移るとロザリアに籍をおく貴族たちに次から次へと要求が送られ課された重税に従うことによって何とかポートイゾルテを含め港町
5 日前読了時間: 9分
その後を
<p>その後を(トルガル) 黒髪の少年が名前を決めないとなとしゃがんで金色のその丸い瞳を見つめ。 “トルガル”。それがお前の名前だとそう言われた。ふた回りほど小さい白銀の髪の少女とその少女よりひと回り小さい金髪の少年が嬉しそうに同時に相槌を打つ。「俺の名前はクライヴだ。こちらが弟のジョシュアと。きょうだいとも言えるジルだ」両隣で同じくしゃがみこんでいるふたりのことを教えてくれた。“宜しくな、トルガル”。ついて来てくれるかと誘われて。と、と、と足音を立てることもなくその後についていった。 まずは不死鳥の庭園と呼ばれる中庭だ。頬に何やら印がある男たちが手の平から水を放ち植物や蕾が開きかけている花がみずみずしく水滴を垂らしていた。庭師がこうしている時にはあまり跳ね回ったりしたらだめだぞと言われても小首を傾げるばかりで。「すぐには言うことは聞けないみたいね」白銀の髪の少女―ジルとふたりの少年は彼女をそう呼んでいる—は微笑みながらクライヴにそう伝えた。「でも、言ったこと考えている。賢いんだろうね」金髪の少年―弟だと言っていたージョシュアは明るく答えた。 次
5 日前読了時間: 6分
不意打ち
<p>クライヴの癖が気になっているジルその1。 ・不意打ち インビジブル内に大きく設けられたクライヴの私室には光が差し込む窓側に備えられたデスクに石の剣の彼ら含め沢山の報告書と皆から寄せられた手紙が丁寧に纏められている。ヴァリスゼア大陸においてマザークリスタルの破壊は成功させたものの。アルケーの空とエッダが語る青空が不穏な雲に覆われてから混沌状態へとどんどん向かいさらにその状況を悪化させているのがアカシアと呼ばれる溢れ出したエーテルの暴走により狂暴な魔物と化した存在だ。一度その姿になってしまっては人でさえ元に戻ることは出来ない。ベアラーやドミナント、チョコボやトルガルであれば耐えられるが個体差はある。各地にこのインビンシブルと同じく拠点を構える今こそこの大陸の為にも人と人へ向き合うべきだと立ち上がっている協力者たちと刻印を取り除いたベアラーたちの強い意思から為る石の剣の彼らの助力と共に対応に追われていた。「兄さん。こちらの報告書はドリスとコールから?」追われているからこそ、冷静でなければならない。ひとりでも命を失わずに済むように。ジョシュアの瞳に
5 日前読了時間: 10分
牢
<p>・牢 シドとバルナバス。 シドルファスがどのような人物だったか弟に尋ねられた。それほど長い時を過ごした訳ではなかった。バイロン叔父さんと張り合いをしている富豪に対して久方振りに暗殺部隊にいた時のコードネームを用いた。5年少し前まではもう捨てられた国と捨てた名前だろうとティアマトに幾度も荒れた言葉を投げつけられ。部隊の誰もが俺の本当の名を呼ぶなんてことはしなかった。 意識を失ったままのジルを抱きしめながら折れそうな心のままあの時は死さえ覚悟していた。その瞬間周囲に雷が落とされた。鉄王国の兵達が焼き焦がされ飛ばされていく。魔物や任務でもそれほど見たことがない属性の魔法。本名を確かに呼ばれたのは実に13年振りだった。 トルガルが姿を見せてから、断たれていない繋がりがまだあったのだとそう心から感じられた。久し振りだなトルガルと心の中で語りかけるとトルガルも俺の本当の名前を呼んでいて再会を喜んでいるのだとじっと顔を上げて見つめるその金色の瞳から伝わって来た。グツに頼んでジルをどうするのかどこに連れて行くのかも分からず。このままにはしておけないだろうと
5 日前読了時間: 7分
贈り物
<p>終盤におけるクライヴのちょっとした出来事。 ・贈り物 その行商人に出会ったのはいわば偶然なのだ。 既にあれは獣でしかないとロザリア7大家族のひとりバイロンから語られた通り黒騎士たちを従え狂気としか例えようがない神皇后であるアナベラが亡くなり。重税からは逃れたものの、クリスタルの供給の無くなり生きていくのは相変わらず大変な―宿を構えるマーサが中心となっていたこの村では、彼女がベアラーたちを匿っていた事実が明らかになってからは許すことが出来ないと出て行った者も少なくはない。それでいて明るい話題もないからか。はたまた認識が少しずつ変わってきた兆しなのか。かつてはベアラーたちへ大公と同じ接し方を盾として滅ぼされたイーストプール村に彼らが住むこととなり。明るくは振る舞いたいと思うけれどね、こう嫌なことが続いたんじゃねと外を箒で掃いていた村人のひとりもここ数日は逐一そちらの方へ視線を向けるようになった。俺たちは青空が広がったら水道橋の建設再開に取り組むとするかねと傭兵のブレナンを通して―彼の実体はフェニックス教団のひとりである―に促されかつてのロザリス
5 日前読了時間: 8分
涙
<p>倉庫番のオルタンスと服を新調してもらったベアラーの姉妹たちとのやり取り。拠点内の皆とクライヴ、ジルのこと。 インビンシブル内のこの拠点において今足りているものと不足しているもの。 それらを小まめに調べてそしてこの先-ジョシュアがヨ―テに語ることになる不確定な未来-ではなくすぐ目の前で生じる事柄に対して考えながら仕入れと仕入れ先に問題が生じた時でもどのように臨機応変に対処していくのかが倉庫番と呼ばれているオルタンスの役目だ。商を生業とするカローンとは異なりこの仕事に商売敵はいない。カローンは彼女自身仕事に誇りを持っている。きつい口調ではあるがグツのことをとても大切に想っていることも、グツ自身がばあさんと泣きたくなるほどの想いを込めてそれに応えていることも拠点の皆が知っていることなのだ。 オルタンスの相手はこの拠点の皆だ。皆の生活はインビンシブル内においてサロンへと繋がっている階段や拠点のリーダーであるクライヴの部屋が眺められ―最近はミドが大工房にて発明したエンジンの大きな模型が置かれ視界が大分覆われたがそれでも彼の部屋につながるテラスはまだ見
5 日前読了時間: 7分
証
<p>クライヴ、ジョシュア、ジルが生きていると感じられる証。 ストラスを先に飛ばし予定していた時刻より先にベンヌ湖へと辿り着いた。 オボルスにインビンシブルまで舟を渡してもらうまで少し時間がある。 僕がアンブロシアを小屋へと送るよとジョシュアがその瞳に傷をもう付けないように顔を防具として覆っている馬具を優しく引っ張って連れていく。 かつてシドの拠点においては拠点のエントランスでチョコボたちが滞在していた。彼らを世話していた彼女へケネスから頼まれた弁当を届けにいくとチョコボはちょっとでも一緒にいるとにおいがすぐひっつくからね、でもこの子たちもこの拠点の家族だからと笑顔でクライヴに話してくれた。 戻ると笑顔で迎え入れてくれた彼女の命はチョコボたちと共にタイタンに顕現したフーゴと部下たちにより真先に失われた。血塗れで倒れているその姿がジルと急いで戻りこの目に飛び込んで来た瞬間に感じた痛みは今でも忘れられない。 アンブロシアと再会出来てから彼女の居住場所をインビンシブル内に置くか考えたがあの時の心の傷は5年経ったとはいえまだ子どもたちに残っているだろう。
5 日前読了時間: 7分
結晶
<p>結晶 ※クライヴ14歳頃。まだトルガルが来る前。 ロザリスは使用人たちとその家族が含まれて暮らしている。ベアラーたちは主人によっては厳しい態度を取られても、大公の精神を理解し尊重しているものたちは彼らをそこまで追い詰たりはせずにきちんと食事や寝床を提供している。刻印を頬に刻まれた彼らが他国と比べても緩やかに庭園を歩き回れるのはそうした背景があるからだ。母であるアナベラはそうした光景は気に入らないので父には苦言を申し立てているようだが、先代が早逝したからこそ仮の立場で王位についているのだと宣言している父はきっぱりとそしてふたりの息子たちに国というものは人が集い協力し合ってこそ、人をしっかりと見つめてこそ成り立っているのだと彼らの魂に呼びかけるかのように教えている。 飛躍的早く今日の稽古を終えられた。マードック将軍はこれから北部地方に遠征へ出る大公の元へ急いで向かって行った。来年ともなればクライヴ様がフェニックスの祝福を授かるのは揺るぎない事実。戦場を共にされるのですと将軍は厳しい声色ながらも勇気を持ってジョシュア様との誓いを果たす為にもと励ま
5 日前読了時間: 8分
舞台
<p>※神話の舞台を逸脱する意味。 世の中は全て舞台だ。そして男女はすべて役者にすぎない。 舞台 ジルは桶に入れた少し熱めのお湯と洗濯したばかりのダルメキアで購入した綿花の布を濡らして半裸のクライヴの大きな背中をインビンシブル内船底にて拭いていた。 「わざわざ…」「こうしたいの」 動物の脂で作った石鹸は洗濯用に。オリーブ油があり、ヨ―テの依頼からジョシュアの薬の素を探しにいくこともなった植物系の魔物が多いロザリアでは灰汁から石鹸を作りそれで身体を洗う。土のアルカリから合わせて肥料を多くする以外に黒の一帯の土で何とか芽を出せないかと植物園の彼らがナイジェルを中心に今日も栽培に取り組んでいた。水だけでは疲れが取れにくいからと彼女は白いふんわりとした布でクライヴの大きな背中を優しく拭っているのだ。インビンシブル内の拠点ではクリスタルを―もっとももうクリスタルからも魔法は殆ど使えず人々は生活が苦しくなったとつぶやきが氾濫している情勢だ―使わず火打ち石で火を起こす。コツはいるが食堂のモリーの教え方は上手いし、ふいごから鉄を打つブラックソーンとグツのやり取り
5 日前読了時間: 11分
1年
<p>・1年をテーマに短めなのを書きました。 ・1年(色んなメンバーで) その歩みが(クライヴ&ジル) シドルファスの死から1年が経った。 クライヴとジルには帰る場所が未だない。お互いがそうした居場所になれれば良いのだという考えはふたりとも抱いていない。何かを知るという行動すら出来ないまま13年間離れ離れとなり、この大陸の真実を知ったのがシドルファスと出会ったちょうど1年前。それまで世界を見ることすらしてこなかったから―出来なかったのだ。ふたりだけの世界で静かに暮らす、それはシドから告げられた真実と復讐心に囚われ動いていなかったこれまでを考えると出来ない。歩み出す、動き出す、現実から目を逸らさないで考えながら生きていくーそう決めた以上はもう止まることをしない。かつてザンブレク皇国から逃れられず望まないまま暗殺部隊の雑兵として領土内をあちこちに連れ出された時に目にしたものも、クライヴの意識の中には入っていなかった。ジョシュアの敵討ちが出来れば他のこともあとはもうどうだっていいと切り捨ててきた…縋るものがそれしかなかった。ジルも逃げ出すことも出来ず、
5 日前読了時間: 8分
刺し通す
<p>クライヴとジョシュア。ジルも。本編の筋が痛みを感じさせるものであった意図と意味。 ・刺し通す・ エーテル溜まりの村エイストラにて息をひそめるように—とまではいかないもののトルガルと共に村人がいなくなってそれほど時は経っていないはずなのにすっかり朽ち果ててしまった酒場にてジルがカウンターの席へとついて。トルガルが傍で彼女を見守ってくれている。こうしている間にもクライヴとジョシュア、そしてディオンが拠点からあそこへ旅立つまでの最後の時が日に日に。刻一刻と迫っているのに関わらずここは静寂そのもので時が完全に止まってしまっているかのようだ。エッダはずっとお腹の中の赤ちゃんの為にも。愛する彼の子だからこそ。話すことも飛び出すことも出来ず痛みと孤独に耐えて来たのだ。その彼女の為にクライヴとジョシュアは彼女が住んでいた家にて愛した彼が彼女の為に揃えたものを全ては無理でも取りに出ている。きっかけはガブがエッダの子どもが新しい舞台へと移ろうとしているこのヴァリスゼアを無事に目に出来るように産まれて来ますようにとお守りを渡したことだ。彼女がありがとうございます
5 日前読了時間: 8分
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