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FF16小ネタ集⑩

色んなキャラで。コメディだったりシリアスだったり。 一番最初の、虫が苦手な方はさっさと飛ばしてください。すみません。

・G in ヴァリスゼア各地(コメディ:セリフメイン)

※頭にGが付く黒い虫が苦手な方はさっと読み飛ばして下さいね🐞すみません。

・少年期inロザリア

何やらカサコソと動く黒い虫が屋敷の床に―。 ジル「きゃっ」 ジョシュア「兄さん!」 クライヴ「ふたりとも、向こうの部屋へ。中庭にいるトルガルを連れて俺たちで何とかする。母様に気づかれたら侍女たちの立場も危ない」 ちょっとして―。 ジョシュア「兄さん、終わったみたいだけどどうしてそんなにがっちりトルガルが身動きを取れないように抱えているの」 クライヴ「いや、無事に退治出来たのはトルガルが思いっきり噛みついたからなんだ」 ジル「あら…」 クライヴ「水浴び嫌がるだろうが…強行するしかないな…」

・in ダルメキア

ダジ・ボーグ城にて、ドミナントとして全てを手に入れたとまざまざと感じさせるくらい金を主体とした豪華絢爛なフーゴの部屋。 大理石で張り巡らされた床に何やら蠢く黒いものが―。 フーゴ「うおおおおおお!これから俺とベネディクタの愛の城となる場所へ入り込むとは許せん!!!」(半顕現姿で怒りの拳を連打)

後日ダルメキアの協議会の場にて―。 (高い費用を支払った報告書を指さしながら)オイゲンさん「クプカ卿!これは一体どういうことで!?」 フーゴ「部下と職人には仕事を与えた。ダルメキアの富を回しているのだから問題なかろう?」

・in ザンブレク

とある竜騎士さん「ディオン様の私室はもう済んでいるのか」 侍女(あら、この人また…)「はい。済んでおります」 とある竜騎士さん「虫一匹は無論、埃ひとつ立てることは許されない」 侍女「次の仕事がありますので…」 さっと去っていく侍女。 とある竜騎士さん(今この城内には不審なものは入り込んでいない…だがあの女が玉座にふんぞり返っている限りディオン様はますます孤立させられていく。せめて外部から来る汚らしい虫一匹あの御方に近づかないようにしておかねば) 後にこの男は庭園で動き回る黒い虫を目にしてジャンプで大暴れした後、その処分として一旦戦地から外されたとか…。

・inウォールード

城内の比較的広い訓練所にてカサコソ動き回る黒い虫を目にしたベネディクタとシドとバルナバスの3者。 バルナバスが剣を抜いて境界転移にて一旦時を止め。 シドが雷の魔法サンダーを落とし。 ベネディクタが風の魔法エアロガで完膚なきまでに切り刻んだ。 スレイプニル「久しぶりに共闘される姿を見たような―」 バルナバス「気のせいだ」

in???

理「ZZZZZZZZZZZZ‥‥」 後にティフォンとなる男がマザークリスタルゼメキスに近づいて―。 理「‥‥‥むっ?…いや、あれではミュトスにならぬ。的外れだ…」 目を覚まして気を緩ませたせいで眠りについているオリジンへ黒い虫が入り込んできた。 ピ―…ジュッ。(防衛システムがビーム放って焼き焦がした音) 理「‥‥ZZZZZZZZZZZZZ‥‥」

・揃って(ジョシュアとディオン)

サロン内で語り合うジョシュアとガブ。 その前をジルが通りかかり、ふたりに丁寧にあいさつをする。

(インビンシブル内で颯爽とクライヴの部屋に向かうジルを見ながら) ガブ「ジルは凛としているよな。ロザリスの中庭でジルを救出してからクライヴにはすぐ奴(フーゴ)を追ってもらって一緒に奴が放った魔物や部下たちと戦っていたんだけどよ。後で具合を崩したのが信じられないくらいあいつらを寄せ付けない毅然とした戦い方だった」 ジョシュア(本来ならジルは戦いを知らないままだったはずだ…) 「僕らの支えになろうと昔から傍にいてくれた。今は戦わなければならないとその覚悟でいてくれる」 ガブ「クライヴの馬(チョコボ)もそうなんだろ?」 ジョシュア「うん、そう易々と兄さんに魔物が寄り付かないように強烈な蹴りを魅せてくれる。兄さんが褒めているよ。アンブロシアもとても気高い」 最近になってクライヴとジルがそうした雰囲気を醸し出していると気づいたガブ、おう。と頷いて。意味ありげに笑みを浮かべて。 ガブ(それがあいつの好みなのな)「で。お前はどうなんだ、ジョシュア」 ジョシュア「どう見える?」 ガブ「俺に聞くのか。お前の従者の子とそうした感じじゃないってのは分かるさ」 ジョシュア「ヨーテは良くやってくれていてとても感謝している。僕はそうだね、愛すると決めたなら最後まで貫く。そうする」 ガブ「それは義務からか?お前が家を受け継ぐと決められていたからか?バイロンさんだったら良い相手とか見つけてくれそうだけどな…」 ジョシュア「さあ、どうかな。…ガブ、失礼。席を外すよ」 ガブ(クライヴとは違って見えにくいところあるよな…)

真っ直ぐインビンシブル内のハッチから出て来たジョシュア、視線をディオンに向ける。

ジョシュア「失礼するよ、僕に何か用があったのにすぐに踵を返されたものだから…」 ディオン「いや、すまない。今後のことで確認しておきたい点があったのだが…。…聞くつもりはなかった」 ジョシュア「気にしていない。あなたと出会ったあの日…お互いに使命があるとそう感じていた。産まれてからすぐにドミナントであったと神皇と母が語り合っていて。あなたと僕はどこか似ているとそう感じていた」 ディオン「‥‥‥」 ジョシュア「ガブが指摘していたことはある意味では正しい。僕は決められた人と結ばれるのだと幼心にそう考えていた。父と母もそうだったから。 結果はあなたもご存知の通り。 貴族国家としての形態は崩れたが兄や叔父たちは放棄された三国同盟を起こし国と国ではなく人と人とが手を取り合おうとこれからのヴァリスゼアを考えている」 ディオン「あの日からすでに…理性的な判断を下していたのだな。そこは余とは違う」 ジョシュア「あなたの部下があなたの身を真摯に気遣ってくれていたからこそ。そうした彼との絆があったから。モースの書物だけではなく、僕の石化を見てあなたは僕の言葉を信じてくれた。彼にも感謝しています」 ディオン「余の方からも感謝する。テランスにこの戦いの後にそのように伝えてくれないか」 ジョシュア「それはふたりで揃って話した方が良いでしょう。僕も兄もザンブレクの人々や竜騎士団の彼らには負い目がある」 ディオン「ここに来たのは約束とはいえ、余が決めたことだ。…3人でそうするか」 ジョシュア「兄さんが怒られるのはマードック将軍と僕を除いたらこれで3度目かな」 ディオン「ほう。兄弟喧嘩というものか」 ジョシュア「戻って来られたら結構見られると思いますよ」 ディオン「兄の方が折れるのか?いや、お前達のことだ。お互いに笑い合っている姿が思い浮かぶ」

・うらやましい(色んなキャラたちで)

・少年期のクライヴとジョシュア ジルからチョコボの雛が産まれたと聞いて、こっそり屋敷を抜け出したジョシュア。 ジョシュア「チョコボはふわふわしていて可愛いな」 クライヴ「アンブロシアが小さかった時を思い出すな。あっという間に俺と狩りが出来るくらい成鳥した」 小トルガル(じー…)「キャン🐺」 ジョシュア「あ…」 ジョシュアが近づいてトルガルを抱っこする。クライヴは頭をぽんと撫でる。 クライヴ「大丈夫だ、トルガルも大物になると父上もロザリアの騎士たちも口を揃えて言っている。その時は一緒に狩りに出よう」 ジョシュア(僕も一緒に行きたいな…)「そろそろ母様が帰ってくるから先に屋敷に戻るね」 クライヴ「馬(チョコボ)のにおいが引っ付いたままだと疑われるぞ」 ジョシュア「そう思ってね、部屋にハーブを侍女たちに頼んで飾ってもらったんだ。その中には本で読んだ墓荒らしが黒死病にかからないように体を洗った混合液の主成分もある。身体が弱い僕に効くか試してみたんだと伝えれば母様も引っ込むでしょう?」 クライヴ「お前のその頭の回転の速さと手際の良さには驚くよ」 ジョシュア(僕は兄さんみたいに戦えないから) うらやましいと思う以前に、兄さんが受け継ぐべきだったのだ。そうであって欲しかった。それが叶わないのであれば知恵を働かせて、支えてくれる兄と協力して乗り越えていくしかない。 後に離れ離れとなった弟は本を通して真実と現実を知り—。兄との誓いからこの世界の理(おきて)を乗り越えることを決心するのだ。

・とある竜騎士さん(日記風味) 今日はディオン様が3回お声を掛けて下さった。テランスは5回だ。 正直テランスがうらやましい。明日は負けないように次の戦地でもっと戦果を上げようと思う。

・ノースリーチの門番兵

ノースリーチ―マダムことイサベラと出会い。彼女が頼みたいことがあると、信頼を得る為に相談に乗ることにしたクライヴ。 門番兵A「おい、お前」 クライヴ「‥‥」 門番兵A「マダムに拾ってもらえるとは、運が良かったな色男」 後ろからトルガルが付いて行き通り抜けていく。 門番兵(あの狼もマダムの目に適ったのか…うらやましい奴) 門番兵B「おい、気配が駄々洩れだ。なあにマダムはこの街を纏めてくれているがそれ故に誰のものともならないさ」 門番兵A「けどよ、あいつを見る目がちょっと他の奴と違っていなかったか?」 門番兵B「そうか?まああの人の素性は誰にも分からないからな。だからこそ、良いんだ」 門番兵A「ああ、そうだな」

・ボクラド市場にて自治領までの通行を見張るダルメキア兵

周りの騒ぎや呻きを見渡しながら—。 クライヴ「ここ最近はずっとこうなのか」 ダルメキア兵「ああ、マザークリスタルが消滅してクリスタルの配給が無くなっているからな…。朝から晩まで気が休まる時がないぜ、全く…」 クライヴ「酒場のマスターからとっておきがあると伝えてくれと言われて来たんだが…」 ダルメキア兵「そりゃあありがたい!ちょうど交代の時間だ、今すぐ行くぜ」 市場に出てから―。 ダルメキア兵「通行所付近は乾燥と日差しが強いから安い酒でも喉は潤せるんだがあのマスターのとっておきと言われると楽しみで仕方ないぜ。後日何か礼をしたいんだが…」 クライヴ「ドレイクファングが無くなった後、せめて形を記念にと模ったパンを作った職人に出会った。ダリミルならそう遠くないはずだ」 ダルメキア兵「最近は小麦の収穫が少なくなっていると市場の奴もこぼしていたな。よし、商い人に頼んで取り寄せてもらうか。 クリスタルが消滅したり戦がなければ俺もここから好きに動けるんだがな」 クライヴ「‥‥‥」 ダルメキア兵「まあ、他に動ける奴をうらやましく思っても仕方がない。ここを難民街みたいに無法地帯には出来ないからな。ひとまず皆で乾杯とするぜ。呼びに来てくれてありがとな」 クライヴ(混沌としている情勢を食い止めるために残る、か…)

・キエルとディオン

持ち合わせも無く、料理の仕度をしているキエルの手伝いも出来ないので何となく居心地が悪そうなディオンが小さなテーブルについている。 キエル「よくここに住んでいる人たちが言っていたんです。自治領の中心街に居住を構えている貴族たちがうらやましいって」 ディオン「……」 キエル「劇を見て華やかな衣装の舞踏会で貴族たちだけの交流を楽しんで。高価なお酒を飲んで美味しいものをたくさん食べて。毎日を豪勢に楽しんでいるんだろうって」 ディオン「君も…そのように思っていたのか…?」 キエル「中心街に薬を売りに出た時に気が付いたのです。皆ひとときひとときの楽しみの為だけに生きようとしているんだって。目の前のこと、色んなものから目を背けながら。それと…」 あなたがバハムートの姿で苦しんでいた姿を見た時、そうじゃないって分かった。 キエル「ずっとずっと耐えていたの、知らなかった。バハムートが護ってくれる。皆そう言っていたから。あなたの苦しみに気づかなかった。だからお薬もこれもせめてものお詫びなんです」 ディオン「…余の方が詫びるべきだ」 キエル「それは私だけじゃない、ですよね。あなたは護りにまた向かっていく」 色んな野菜が小さく刻まれたスープをお皿にすくいながら少女は続ける。 キエル「貴族の人がうらやましい。最初からそう決めつけないようにこれからしていきます。あなたと出会えてそれを教えてもらえたから」

・向き合う(バイロン叔父さんとクライヴ+ジル)

鉄王国へと向かう前―。港でようやく心情を吐露出来たジルを屋敷の中で先に休ませて、静かに扉を閉めて出て来たクライヴをバイロンが近づいて声を掛ける。

バイロン「クライヴよ、彼女の様子は…」 クライヴ「落ち着いて眠りについています」 バイロン「そうか。気になっていたので良かった。わしがアナベラのことをあれは獣のようだと語ったときから様子がおかしかった…」 クライヴ「……ここへ来る5年前まで俺たちは離れ離れで…とても誰かに話せるような生き方は出来ていなかった。 目は合わさない言葉も発せない、意志など必要ない。与られた任務…命令だけをこなす。それだけの日々だった」 バイロン「ジョシュアだけでなく、お前も彼女もドミナントだったというのは流石に驚いたぞ。イフリートとやらは正直わしにも良く分からん。 シヴァに関しては…クライヴよ、お前の祖父の時代について兄上から聞いておるな?」 クライヴ「はい。当時はシヴァの勝利だったと」 バイロン「…だが北部は内部の分裂で兄上の時代に平定された。当時のシヴァのドミナントも姿を消し…民の為にと立ち上がった女性だったとわしは聞いた」 クライヴ「…」 バイロン「…北部はもう国としては存在していない。彼女が来るまでシヴァのドミナントも噂が真実なのか分からなかったが… これが現実だというのならわしは多いに悪党のお仲間として暴れさせてもらうぞ」 クライヴ「…叔父さん」 バイロン「さっきも伝えた通り、お前の癖は分かっておる」

お前には嘘をつく時に癖がある。 バイロンとしては照れ隠しで放った冗談のつもりだった。 真面目なふたりは思わず互いに向かい合いそうなのかと確認し合っていたが。 5年も連絡すら無事なのだと寄越さなかったのだから―そう出来なかった理由はきちんと受け入れている、兄上の魂が生きているのだとその証を今目の辺りにしている―少しくらい意地の悪さを見せても良いだろう? クライヴ「ありがとうございます」 バイロン「その言葉、彼女にも伝えてやってくれ。さっきのお前たちの様子からお前に向き合い支えてくれているのだとはっきりと分かったからな」 クライヴ「もちろんです」 バイロン「昔から素直だったな、お前もジョシュアも。変わらない可愛い甥っ子たちだ。それと彼女とはそれほど交友はなかったわしだが、あの子も変わらずお前に対して真っ直ぐなのだな」 振り返ってジルが休んでいる部屋の扉を眺めるクライヴ。 バイロン「そうした子が…望まない戦いに連れ出される日々だったこの世界はわしとておかしいと思う。アナベラの圧政が怖くてこれまでウェイドたちを裏から支えるくらいだったが…」 向き合うべき時が来たのだとバイロンはそう語る。 クライヴ「マザークリスタルドレイクブレスを破壊後俺たちはすぐに鉄王国を脱出します。 まだ捕虜として捕らえられているロザリアの民を受け入れる準備をお願い出来ますか」 バイロン「おお、そうだな。まずは目の前のことからだ」 クライヴに軽く手を上げ、バイロンは一二歩進んだ後―。 バイロン「そうだ、クライヴ。知っておるか」 可愛い甥っ子をからかう昔よく見た声の調子とその楽しそうなバイロンのその笑みに。 クライヴ「どうかしたんですか」 真面目に答えるクライヴだったが。 バイロン「シヴァは大変美しい女性で多くの者が見惚れていたとも聞いた」 何かを察しているのか腕を組みながらこの叔父はにこにこと笑いながらそう教えてくれた。 クライヴ「…はい」 バイロン「見惚れても構わんのだぞ」 返事を待つこともなく後のことはわしに任せなさいとどこか軽い足取りで去っていく恰幅の良い叔父の姿を見送ってから、彼は軽くため息を吐いて。

(民の為にと立ち上がった―)

叔父のその言葉を思い返す。ジルもドミナントとして覚醒したのなら誰かの為にとそう願っていたはずだ。 今はその力を自分達へ―自分を守る為に使ってくれている。 そして今度は彼女自身の過去と因縁へ向き合う為に。

共に行き、共に戦う。 そしてその後は再び―。

(支えるだけじゃない、君と向き合おう)

・嬉しい(クラジル)

※不意打ちの続きみたいなもの。

ぽすんとジルが胸元に顔を埋めてきた。 「どうかしたのか」 普段から我慢させてしまっているから、残された時を可能な限り共に戦って過ごすだけでなく夜眠りにつく前に君に感謝とあいさつを送ったりして―以前からずっとそうしてきたのだが今はお互いの心がほどけたような間柄となってからなおさらこうした時を大切にしたいとそう思っている―クライヴは優しく尋ねた。 「こうしているとね、自然と笑顔になれるの」 ジルが落ち着いた声色でそれでいて嬉しいのだと伝わる言葉の端から端まで温かい感情を乗せて紡いでくれる。 それでねと彼女が続ける。 「もっと、ずっと…あなたの音を聞きたい」 「結構うるさくないのか」 思わず出てしまったその言葉にジルは彼の腕の中で幾らか瞬きをし。 クライヴは照れているのだろう、鼓動が強まった。相手が君では誤魔化せないなと抱き寄せている力が強まった。

(嬉しい)

彼のこの音を引き出せるのが私だけなのだ。 想いそのものの音。命の音。子どもの頃には知らなかった大好きな音。 彼にとって必要で大切な人になれているのだと。

叔父様が語ったクライヴの癖は何なのかは未だに分からない。 それでも見極めて、彼の想いを受け入れたみたいに受け入れられたらと思う。 「今みたいにたくさんのこと話して」 「インビンシブルに帰って来たらこうしようか。皆には内緒で」 「…子どもたちももうとっくに気づいている」 「そうだな」 ここでそうなれて嬉しいよと彼がまた語ってくれた。

(嬉しい)

再会する喜びを知ったふたりだけのひととき。

ベネディクタに懐柔されているフーゴの小話。

・大地と風・

その巨体は大地の怒りを轟かせる。 土の属性を授かり。それ自体が強大な要塞のようである。 マザークリスタルドレイクファングは山脈と一体と化しており。 5つの協議会から成るダルメキア共和国は実質権力者としてクプカ卿に逆らえるものは存在しない。 後に売国奴を皇后として据えたザンブレク皇国もまた。賢人たちが権力に呑み込まれ神皇が彼女の言いなりとなり現人神のように誇り高ぶっていったように。 「フーゴ」 同盟国ではあるがその条約は骸と化している。最もマザークリスタル以外に資源が望めないこのヴァリスゼアでは現状として破棄も出来ない。 ダルメキア・ウォールード同盟国同士の会談は黄昏の時を迎えているヴァリスゼアと同じくよどんだ空気を纏ったまま、打ち切られた。 巨漢であるその男―タイタンと呼ばれる圧巻な巨人をその身に降ろすドミナント、フーゴに金髪でどこか冷淡な色気を放つ金髪のウォールードの女騎士が近づいた。彼女もまた風の属性を抱くガルーダのドミナントなのだ。残虐であらゆるものを切り刻んでいく。 「ベネディクタ、もういいのか」 「残念ながら。こっちのお偉い様、随分と煩いのよね。蠅みたいな内紛じゃうちの隊ももったいないから。ちょっと雑兵の訓練としてそれ相当の人数を送ると伝えたわ。あとベアラーたちも十数人。そっちは終わったら捨てるなり売りに出すなりお好きにどうぞ。 スレイプニルが指揮を。まあ彼も別に再訪する気はなくて、あくまで指示だけだけど」 「そうか、残念だ。久し振りに会えたのにな…」 意味ありげな含みがある笑みがこの男によく似合ったものだ。 「王になるのでしょう。その為の準備はあなたのことだもの、虎視眈々と進めている…」 「すべてが整ったのならベネディクタ。お前が俺の隣に…」 両肩を力強く握り。男は女を自らにまるで取り込むような、貪るように距離を詰める。 「あら、いけないわよ。今はまだ、ね」 ベネディクタは優しくそれでいて誘い込むようにフーゴの頬に触れた。 意外にもフーゴはすっとベネディクタから離れた。 「…確かにな。王座に就くのは全てを手に入れてからだ」 「フーゴ。知ってる?タイタンは岩のような巨体。風は全くそれには敵わない。でもね、切り刻むような凶悪な風は岩を削り。狂暴だからこそ手は緩めない。 そうして長い時を経て風化させていくの、さらさらとね」 フーゴがすっと目を細めた。ベネディクタも上目遣いと唇で弧を描き挑発する。 「俺とお前のことを言っているのか。タイタンは大地とも直結する怒りの力だ。 地上だけでない、地下まで追いかけて追い詰めるさ。溶岩より熱いものを注いでやろう」 「あら、そこまでして欲しがってくれるなんて嬉しいわね」 頬をすりすりと色っぽく撫でながら。楽しみにしているわよ、とベネディクタはフーゴがこの場の別れを惜しむように印象づけていく。 彼が彼女を欲するように。情欲を抱くように。

後に、ひとりの男はドミナントの力と、マザークリスタルの吸収から与えられたエーテルごと。全身が石化に至り。 半身残ったその身も、ドレイクファング消滅と共に風化し滅んで行った。

大地はそれを受け入れない。風がすべて攫って行ってしまったから。 ひとりの王と彼の忠臣も傍観者のようにその終わりを語っていた。

彼らの主である理が求める存在ではなかったからだ。

その日から程なくしてある小さな集落が廃墟と化した。村人たちがひとりまたひとりと姿を消していったからだ。 日ごとに風化し壁も崩れ落ちた石粉は風によって運ばれてダルメキアの赤い土へと同化していった。 土の民も、また。 神話の時代が終わると共にその名称は歴史から姿を消していった。

・その名(アナベラとシルヴェストル)

待望の、切望の、そして私の血筋から生まれた男の子。 この子こそまさに望んだ存在。

“ああ神様は私の願いをかなえて下さったのだわ” 神から救いが来たという意味を込めてジョシュアと名付けた。

メティアに祈る必要などない。私の血筋から、私のお腹から。 産まれてくるのだと分かっていたのだから。 あの出来損ないはさてどうしてくれようか。道が険しくなろうと崖のように厳しくてもお前なら越えられるとあれにエルウィンはクライヴと名付けた。

ジョシュアが産まれて間もなくエルウィンがいつまで第一王子を母親として王妃として放棄しておくのかと煩わしく話し合いを持ち掛けて来た。 全くままならない夫だ。 “クライヴに公子ではなく騎士しての道を歩まないかと話した” “あれは身体は丈夫ね。いいでしょう。せめてここにいるならそれくらいの役に立たなければ” “アナベラ、ふたりとも私にとってはかけがえのない息子たちだ。身体の弱い弟を支えたいとクライヴは切実にそう申し出てくれたのだ。兄と弟が互いに協力しあい支え合って人と人へと向き合う。 私とてバイロンとそのようにしてきたのだぞ”

本当にエルウィン様との子なのだろうか―。 アナベラ様が従姉妹だったからこそ押し切ったとも聞いている。 実はどこか別の者と―。 クライヴ様はあれほど健康でいらっしゃるのにな。ますますもって疑わしい。

ああ…どいつもこいつも、煩わしい。

“あれがそう決めたのならどうぞご勝手に。私は戦いには出ませんから。ジョシュアは身体が弱いのです。そちらの世話に貴族たちや侍女たちとかかりっきりになります。あなたも分かっておられるでしょう。フェニックスを宿している以上ジョシュアが公主となる。それは揺るぎない事実。 では失礼するわね、エルウィン”

そう、エルウィンの血筋からではない、私の血筋からフェニックスは来たのだ。手放すつもりはない。

そう、ねー…。 もし万が一フェニックスがジョシュアから消え去るというのであれば私が生み出せばそれで良い。 その時はそう他のドミナントを産み出せる血筋の者と結ばれよう。 そうして私は唯一無二の存在となるのだ。

下賤の女から産まれたとすぐに分かった。正妻は未だ子を生さない。 ただ与えただけの名に意味はないのだとそう思っていた。 あれは貴族のものか、騎士か。それとも賢人たちのひとりだったか。 そのことを告げられるまで世界がぼんやりとしていた。

“産まれた御子様はバハムートを宿されています” 1年ほど前に名は与えたがそれに何の感傷も無く…名付ける必要も本来はなかったとそう考えていた。 その言葉が告げられてから世界が輪郭を持ち始めた―くっきりとしたのではない。 稲妻が轟き雷が落ちたように天命を受けたようにこの耳が、目が、身体が打たれた。目まぐるしく思考が働き始めたのだ。 側近に合図を送り、密かに告げた。 「“ディオン”を連れてこい」 「…は?」 それまで抑揚のなかった呼び名に対し明らかに雰囲気が変わり。思わず戸惑いを返して来た。 「産まれた子供を連れてくるのだ」 天高く舞う竜の中の竜王、バハムート。 どこから来たのかも分からない下賤の女の血が混じっている、それでいて確かにバハムートのドミナントの血筋が自らにあったのだと証明する、息子。

“天と地の子”

それが私の子の名の意味だとはっきりと告げると側近は敬礼をし、すぐさま出て行く。 「ディオンがバハムートとなったのか…」 後ろ盾は得た。よって正妻ももはや不要だ。 あとはこの黄昏の大陸に置いて民を生き残らせ。 そしてザンブレクの血筋ーバハムートこそがもっとも優れた存在であるのだと風の大陸、灰の大陸に刻み込むことにしよう。

シルヴェストルは深く腰を下ろしながら静かに算段をつけ始めた。

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